クチコミに関する考察
ケース1と、ケース2を読んでみてください。
■ケース1
価格コムのレビューにて、20人から評価されていて、1人から酷評されている電化製品Aがあったとします。
電化製品Aを買いますか?
買いますよね。
■ケース2
価格コムのレビューにて、20人から評価されている電化製品Aがあったとします。
でも、電化製品に詳しくて、信用できる友人が、「実は、電化製品Aって、最悪」と言っていたら、どうですか?
多くの人は買わないのではないでしょうか。
「レビューはどうせ、自作自演だろう」なんて思って、レビューを無視すると思います。
ケース1とケース2を見れば面白いですよね。
だって、統計として見ると、両方とも「評価20名 VS 酷評1名」なのに、ケース1では購入して、ケース2では購入しませんから。
もっというなら、一切、クチコミがない状態だと、見知らぬ誰かが書いたレビューを信用しますが、身近で信用できる友人のクチコミがあれば、どこの誰かもわからない価格コムのクチコミ(レビュー)なんて信用しなくなります。
つまり、クチコミは、誰が発信しているのかも重要なわけです。
では、どういう人のクチコミだと「信用」されるのでしょうか。
(そもそもクチコミの専門書があるかどうか知りませんが)クチコミの専門書を読んだことがないので、私の見解を。
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クチコミの効果を出すには「好意」
「好意」があれば、理不尽なことでも許されます。
好意は最強です。
たとえば、先ほどの例だと、電化製品に疎くて、でも、かなり仲のいい友人が「電化製品Aは最悪だった」と言うだけでも、多くの人は電化製品Aを買わないと思います。
というわけで、クチコミの発信者が「好かれている」ならば、そのクチコミのチカラも強くなります。
※)実際、何の専門家でもない芸能人やモデルが、「この商品ってスゴイいい!」って言うだけで、ファンは買ってしまいますよね。ファンはクチコミの発信者(芸能人やモデル)に「好意」があるので、買ってしまうのですね。
クチコミの効果を出すには「権威」
たとえ見知らぬ人であっても、専門家のいうクチコミは信用できると思います。
たとえば、栄養ドリンクを探しているとき、見知らぬ誰かが評価している栄養ドリンクよりも、医師や薬剤師が評価している栄養ドリンクの方が魅力的に見えるのではないでしょうか。
もっというなら、たとえ、評価している医師や薬剤師が、栄養ドリンクに対して、全く専門知識がなくても、「肩書き」だけで、クチコミの効果が高くなります。
クチコミの効果を出すには「リアル」
有名な言葉です。
「一人のロシア兵の死は悲劇である。百万人のロシア兵の死は統計である(スターリン)」
マスメディアでも、よく使われていますよね。
どういう手法なのか?
たとえば、ニュースで、「本日、ボンゴで紛争があって、千名、亡くなりました」と聞いたとします。
どう思いますか?
千名の人たちが亡くなったにも関わらず、それほど悲しくはならないと思います。
一方、アフリカの青年1人にスポットを当てて、その青年の生い立ち、家族との心の触れ合い、心の葛藤など、感動ドキュメント番組を見てから、ニュースで「(顔写真つきで)その青年が紛争で亡くなりました」と聞けば、どうですか?
たとえ、その紛争で亡くなったのが、三名だけだとしても、「悲劇」だと感じるのではないでしょうか。
歴史を振り返ると(今でも)こうやって情報操作されてきているのですが、私は政治に興味がないので、きな臭い話は置いておいて、クチコミに話を戻します。
価格コムのレビューで、電化製品Aは20名に評価されていました。
「電化製品Aを買おうかな」と思いつつ、ググっていると、偶然、如何に電化製品Aがダメな製品なのか、「動画」を使って、解説している人のブログを発見したとします。動画を見ていると、その電化製品Aが出てきていて、その欠点をひたすら解説しているんです。
それでも、まだ電化製品Aを買いますか?
きっと、電化製品Aを買わなくなるのではないでしょうか。
これを統計で見ると以下です。
「見知らぬ誰か20名の評価 VS 見知らぬ誰か1名の酷評」
これであっても、動画などの「リアル」な情報を得られれば、リアルな情報の方を信じてしまうのではないでしょうか。
つまり、クチコミが、より「リアル」になるほど、クチコミのチカラも増すということではないでしょうか。
私の実験
私、初対面の人に、職業を聞かれるとき、説明するのが面倒なので「本を書いている」って言うんですね。
で、少し前に、ちょっとした実験を思いつきました。
飲み会のとき、以下のようにしたら、どういう反応が返ってくるのか、実験してみたんです。
「職業は何ですか?」と聞かれたら…。
1.本名を教えず、著書についても一切語らず、「本を書いている」とだけ言う
2.著書の一覧を載せ、マスコミ掲載暦も掲載されている名刺を渡す(仕事用の名刺です)。
3.本名を教えず、著書についても一切語りませんが、超エリートの人が「(私の著書の)ファンです」と言う(私が言わせたわけではなく、気が利く人なので、自然に言ってくれていました)。
1から3を客観的に見れば、「私の職業=本を書いている」です。
しかし、(1をコントロールとすれば)2は、私が本を書いているということを、より「リアル」に感じることができますし、3は、要は「権威」によるクチコミです。
で、結果ですが、やはり1に比べて、2と3の方が私の評価は高くなりました。面白かったのが、3だと、まるで私が芥川賞作家くらいの作家だと評価されたことがあったということです。
この辺の話を書くと長くなるので割愛しますが、やはり、「リアル」「権威」「好意」などの効果は高いです。
効果のあるクチコミの利用例
「畳職人の夫婦の生い立ちに関するドキュメント番組かな」と思って見ていたら、番組の最後の方で、「私たち夫婦は、この健康食品を食べているので頑張っていけています」って流れた…。
こういう通販番組、見たことがないですか?
これって、人の習性を利用していますよね(すごいリアルなクチコミです)。
効果があるので、30分くらいの長い枠をとってテレビ放映しているんでしょうね。
というわけで、こういう人の習性をわかっていれば、色々と応用できます。
たとえば、メルマガに広告を出稿するときも使えます。
「どのメルマガに広告を出稿するのか」に頭を悩ませると思いますが、人の習性を知っていれば、「毎日のニュースをまとめて流す」っていう機械的なメルマガよりも、ファンが多そうなメルマガに発行者のクチコミとして広告を流す方が効果が高いってわかります。だって、メルマガのファンって、メルマガの発行者に「好意」があるので、クチコミの効果が高くなりますから。
あと、プライベートでも、利用できます。
具体的に、友人(男)をモテモテにすることもできます(笑)
1.相手方の幹事と何度も顔を合わせて「好意」を持たせる(心理学でいう単純接触仮説を利用)。
2.「今度、飲み会に来る男性、すごい仕事ができるし、いい人なんだよね。誠実だし」とクチコミを流す。
人の考えてって、情報の与え方で変えることができるんですねー
話が長くなるので、この辺で。