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昔、雑誌で見かけた広告の手法

※)今回は、体験談ではありません。単なる「考察」で「机上の空論」です。頭の体操くらいのノリで読んでいただければ幸いです。

テレビ番組を見ていたら、「もし深く考えて制作していたのなら、スゲーな」と思ったコーナーがありました。どういうコーナーかというと以下。

次の三つの写真A〜Cのうち、どの写真の構図がいいと思いますか。正しい選択肢を選んだ人は、写真家の才能あります。
・写真A
・写真B
・写真C

私の予測では、60パーセント(数字は適当)くらいの人が正解して、「私って、写真家の才能がある!」って喜んだのではないかなと。
なぜ、私は、そんな多くの人が(※)、この問題で正解を導けた、と言い切れるのだと思いますか。これから、それを考えていきましょう。
※)何も考えなくても、正解を導き出せる確率は、正解は3つに1つなので、33パーセントですよね。それよりも、かなり高い正解率だったと思うわけです。

そもそも、才能ある写真家って、どんな人のことですか?
もちろん、「多くの人が、この人の写真、スゲー」って思う写真を撮影できる人のことですよね。当然、才能ある写真家が撮影した写真って、多くの人が「構図も素晴らしい!」って思うはずです。

「才能ある写真家=多くの人がスゲーと思う写真を撮影する。もちろん、多くの人が構図も素晴らしいと思う」

で、先ほどの質問をもう一度、振り返ってみましょう。

次の三つの写真A〜Cのうち、どの写真の構図がいいと思いますか。正しい選択肢を選んだ人は、写真家の才能あります。
・写真A
・写真B
・写真C

……鋭い人は、もう気がつきましたよね。
多くの人が「この写真の構図がいい」と思った選択肢こそ答えになるはずなので、だから、多くの人が正解したと予測できますよね。

……どういうことか?
じっくり解説していきます。

仮に「才能ある写真家が撮影した正しい構図の写真A」があったとします。
すると、写真Aを見た人の多くは、「この写真、すばらしい構図だな」と思いますよね。

正しい構図の写真A→多くの人がすばらしい構図だと思う

で、「才能がない人が撮影した間違えた構図の写真BとC」があったとします。この写真を見た人の多くは、「この写真の構図、ダメじゃね?」って思いますよね。

間違えた構図の写真BとC→多くの人は、ダメな構図だと思う。

話をまとめてみましょう。

・正しい構図の写真A→多くの人がすばらしい構図だと思う
・間違えた構図の写真BとC→多くの人はダメな構図だと思う

これをひっくり返せばいいんですね。
※)個人的な見解ですが、写真は、素晴らしいか、素晴らしくないかは、多くの人の間で価値観が共通していると思うので、必要十分条件だと思っています。

・多くの人がすばらしい構図だと思う→正しい構図の写真A
・多くの人はダメな構図だと思う→間違えた構図の写真BとC

これを見れば一目瞭然だと思いますが、わかりやすいように文章を変えてみますね。

・三枚の写真のうち、多くの人がすばらしい構図だと思った写真→正しい構図の写真A
・三枚の写真のうち、多くの人はダメな構図だと思った写真→間違えた構図の写真BとC

あら、不思議。三枚の写真のうち、多くの人が「いい」と思った写真が「正しい構図の写真」、つまり「答え」になるわけです。
つまり、多くの人は、何も考えず、ふつうの感性で選ぶだけで、正解の写真を選べるわけですね。
くどく言えば、多くの人が「すばらしい構図の写真」と思えるような写真じゃないと、正解になり得ないってことです。
だから、このテレビ番組を見た人の多くは、正解して、「やったぁ!正解だ!私には写真家の才能がある」なんて思ってしまうわけです。

「私って、写真家の才能もあるんだな。なんか、このテレビ番組見ていたら気持ちがいいなー、次回も見よう」なんて思わせるために、このコーナーを制作したのであれば、スゲーなと思うわけです。
※)多忙を極めるテレビマンはそこまで考えないと思いますが。

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昔、よく見かけた雑誌の広告

思い出すと、これって昔、よく雑誌の広告で見かけましたよね。
私の記憶では、芸術系のスクールか通信講座の広告だったと思います。
「どの構図がいい構図だと思いますか」みたいな広告です。

きっと、頭が恐ろしくいいアメリカ人が開発した広告の手法なんでしょうね。ほんと、巧妙ですよね。なぜって?

もし、あなたがイラスト家志望だったとして、「あなたにイラストの才能がある」といわれたら、どうですか?その気になりますよね。

仮に、日本で、あなただけ、どの構図がいいのか、正解を導くことができたのならば、本当にイラスト家としての才能があるのかもしれませんが、実際は、多くの人が正解しているんです。
でも、まるで自分だけ正解している、自分だけが才能があるという錯覚に陥ってしまう広告なので、巧妙だなと
※)先程のテレビ番組を見ていて、正解した人も、きっと、「自分だけ正解した」と思えるからこそ、「写真家の才能があるかも!?」と思えるわけですから。

もっとも、最近、この手の広告を見ないので、今回の話は、あくまで机上の理論だけなのかもしれませんが。

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