縦書きか横書きの選択
出版企画をつくるとき「縦書き」か「横書き」のどちらにするのか決めます。
また、サンプル原稿を送信した時点、もしくは、数ページ、執筆した時点で、横書きではなくて縦書きにしてほしいなどと言われることもあります。
横書きと縦書きは、それほど大差がないように思えますが、意外にいろいろと影響します。何に影響するのでしょうか。
ここでは、わたしの体験談をもとに紹介します。
スポンサード リンク
目次案とサンプル原稿で無駄な仕事が生じるのを防止しているが……。
本を執筆する際、注意していることがあります。
それは「無用な書き直しを減らすこと」と「カットされる部分を減らすこと」。
編集者から「なんか、この部分、わかりにくい、共感が得られない」などの指摘があって、数行、多くても項目、数個くらい修正しなければならないのであれば、まったく問題はないのですが、「章ごと、下手をすれば、全部を書き直せ」といわれると、たまったものではありません。
これほど無駄な仕事はありませんから。
また、「カット=無駄な作業」なわけですので、カットされる部分も少なくしたいものです(ただし、文字数、ページ数の関係で、どうしてもカットされる部分はでてきます)。
そこで、本を書く前に、正確な「目次案」をつくって、本の内容についてOKしてもらい、「サンプル原稿」をつくることで、実際の本のイメージについてOKしてもらうようにしています。
こうやって、事前に編集者と、すりあわせをしておけば、お互いに、無駄な仕事をなくすことができます。また、厳密に目次案をつくっておくと、原稿を書き終わったあと、カットされる部分は少なくなりますし。
というわけで、目次案とサンプル原稿を作って、編集者に送信したとします。
それを見た編集者より、以下のように言われたとします。
・目次案はOK
・サンプル原稿の流れはOK
・ただし、横書きから縦書きにしてほしい
横書きと縦書き。大差がないように思えますが、これが曲者です。
目次案を変えないといけなくなることもありますから。
でも、なぜ、目次案を変える必要に迫られるのでしょうか。
横書きは意外に文字数が多い
「読みやすさ」の観点から、1ページあたりの文字数は大体、次にようになっています。
「横書き」:1ページあたり、33文字×32行=1056文字
「縦書き」:1ページあたり、40文字×16行=640文字
つまり、横書きから縦書きにすると、単純計算で、ページ数が1.65倍になります。
横書きのときの目次案が212ページとすれば、それを縦書きにするだけで、なんと、「212ページ×1.65倍=350ページ」になってしまうのです。本は、200〜250ページくらいなので、100ページ以上、カットされる可能性がでてくるわけですね
だから、目次案から練り直したほうがいいわけです。
実際、とある本の目次案とサンプル原稿を送信した際、横書きを縦書きにするように指示されました(あとは事例を増やせとも)。現行の目次案のままだと、500ページを超えそうな勢いだったので、目次案を、縦書きにしても230ページほどになるように修正しました。
それでも、280ページほどになってしまい、数十ページ、カットされました。
最初に目次案という設計図を綿密につくっておいても、このように無駄が生まれてしまうので、ましてや、最初に綿密な設計図をつくっておかなければ、もっと悲惨な目にあうのは容易に想像できるのではないでしょうか。
ちなみに、ビジネス書1冊を読むのに3時間もあれば十分だと思いますが(酷いものだと1時間もあれば読めてしまいます)、それには、こういう理由があったんですね。
つまり、縦書きだと(ビジネス書はたいてい縦書きです)、文字数が少なく、事例が多くて(無駄が多くて)、短時間で読めてしまうのです。
まあ、著者としては、縦書きで薄い本の方が、書くのが楽ですけどね。
というわけで、著者デューを考えているなら、この縦書き、横書き、文字数の話は知っておいて損はありません。