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企画会議で出版企画が採用されるまでにかかる労力と月収

(バックエンドがあれば話は別ですが)本を出版するにあたり、ふつう、収入は印税だけです。
その印税も、ほとんどの本が増刷できない状況なのでたいてい、初版印税のみです。
金額にすれば、大体、60万円ほどで、高くても75万円ではないでしょうか。

(一般的なケース)
・5000〜6000部
・印税率8%、よくて10%
・1500円

とはいえ、経験上、条件が悪くても、印税は20〜40万円ほどはもらえます。
だから、下記のように、印税のパーセンテージよりも「労力」に注意を払ったほうがいいこともあります。

・初版印税:75万円、労力:3か月分→月給換算25万円
・初版印税:30万円、労力:1か月分→月給換算30万円
※わたしの場合、得意なテーマだと、上記の半分くらいの労力で書き上げてしまいます。

もっというなら「増刷するのが難しい=収入が固定される」のなら、かける労力を少なくすれば、月給換算の金額はあがるので、労力に注意を払ったほうがいいともいえます。
というわけで、今回は労力の話です。

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本を発刊するまでにかかる労力

本を発刊するまでに、主に、つぎの労力がかかります。

1.出版企画を売り込む労力
2.企画会議で、出版企画を通す労力
3.執筆にかかる労力

上記3については、以前、「かなりの労力がかかる」ということは紹介しましたが、実は、上記1、2も、意外に労力がかかってしまいます。
今回は上記2の話がメーンです。

出版が決まるまでの流れ

出版が決まるまでには、おもに、つぎの流れになります。
※出版社によります。

・編集者が、企画会議に企画を提出
・企画会議にて企画が通過
・重役の会議で企画採用が決定

この流れを把握したうえで、労力を考えてみましょう。

出版企画を売り込む労力

出版企画を売り込む労力とは、要するに、企画会議に出版企画を出してくれる編集者を探すためにかかる労力です。
これが意外に手間と時間がかかります。
なぜなら、つぎの2つの労力をかける必要があるためです。

・出版企画をつくる
・編集者がいるところに出向く(人脈を築く)

今回は、本筋ではないので割愛させていただきます。

ちなみに、出版プロデューサーに頼むと、この手間を省けることもあるのですが、最近、料金が跳ね上がっているようですし、詐欺的な商売をしている人もいるそうです。
また、よほどの出版プロデューサーでない限り、そのまま企画では通らないので、自分自身でも企画をつくらないといけなくなり、そうすると、結局、自分で出版企画をつくって編集者に売り込むのと、費用対効果は変わらくなる、というより、むしろ出版プロデューサーに頼むほうが費用対効果は悪くなってしまいます。

企画会議で出版企画が採用されるまでにかかる労力

編集者が見つかって、「ぜひ、一緒に仕事をしましょう」といわれても、出版企画を出しさえすれば、出版できるわけではありません。
また、以前の著書の担当編集者に、「また仕事しましょう!」といわれても、すぐに出版が決まるわけではありません。
企画会議で、出版企画を通す労力がかかります。
具体的には、つぎのことが求められることがあります。

・出版企画の練り直し
・詳細な目次案の作成
・サンプル誌の作成

ここは、一緒に仕事をする編集者の経験・手腕・やる気にもかかわってきますが、時には、100ページほどの原稿を書くのとかわらないくらいの労力がかかることがあります。
また、明確に「この原稿を本にしたい」と決まっていれば話は別ですが、たいてい「こういう本をつくりたいなー」レベルなので、この時点で、詳細な目次案まで作成しないといけないのはつらいです。
版元によっては、目次案を大きく変えることができないところもありますし。
また、発刊が決まっているのなら、まだ労力をかけるのもいいのですが、労力をかけても、出版が決まらないこともありえます。
だから、できるだけ労力をかけたくないのが心情。
しかし、労力をかけないと、企画会議で通りません。
そこで、わたしは労力が軽減するケースを狙うようにしています。

労力が軽減するケース

まずは、執筆依頼です。
執筆依頼してくるということは、ふつう、発刊が決まっていて、あとは著者を探すだけという状態なので、こちらがOKといえば即決まります。
この場合、「編集者と知り合う労力」も「企画会議を通すためにかかる労力」もかからないので、もっとも労力が少なくてすみます。
わたしは執筆依頼を断ったことがないのですが、これが主な理由です。

つぎに、権限のある編集者のケースです。
編集長や、経験がかなりある編集者だとその人がOKを出せば、企画会議は通ったも同然のときがあります。
この場合、「企画会議を通すためにかかる労力」はかからないので、おすすめです。

最後に、前の本の担当編集者です。
「編集者と知り合う労力」がかかりませんが、企画会議を通すための労力がかかることがあるので、状況を見極めたほうがいいと、最近、学びました。

最低限、やる気のある編集者と組もう!

やる気のある編集者と組むと、企画を通せるレベルまでつくってくれることがあります。
また企画会議で落とされても、再チャレンジしてくれて、「労力をかけたのに、結局、出版もできなかった」というリスクは軽減されます。
最低限、熱意、やる気のある編集者と組むようにしましょう。

おすすめできないパターン

まずは、経験が浅い編集者や、発刊点数を絞っている出版社の場合です。
企画会議で通らなくて、出版企画をつくってはやりなおしの繰り返しになるリスクがあります。
わたしの経験だと、100ページほどの原稿を書くのと変わらない労力がかかったこともあります。
ただ、熱意があれば、企画会議で落とされても再チャレンジしてくれて、「労力をかけたのに、結局、出版もできなかった」というリスクは軽減されるのですが、あえてそのようなことをしなくても、と最近思うようになりました。

あとは「あなたが売り込んできたんでしょ?」というスタンスの編集者です。
力になってくれないので、労力をかけて企画をつくっても、企画会議で落とされればそれで終わりです。
たとえ企画が通っても、本が出版されたあと、一緒に本を売るという気持ちになってくれないでしょう。

出版企画の再利用は可能か?

「ある出版社の企画会議でNGを食らったら、別の出版社に売り込めばいいじゃないか」と思うかもしれません。
確かにそうすると、出版企画をつくりこむ労力はかかりませんが、「出版企画を売り込む労力」がかかってしまいます。
また、出版社によってカラーがちがうので、たとえば出版社Aで惜しいところまでいった出版企画でも、出版社Bなら門前払いを食らうこともありえるので、出版企画に手をいれないといけません。
もっとも、ゼロからつくるよりも、はるかに手間暇はかからないのですが、やはり一発で通したいものです。
次回はさらに詳細な話を書こうと思っています。

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