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商業出版しても「赤字」か「格安の労働」になる

「商業出版して増刷はしなかったけど、以下の条件で印税をもらったから、一応は黒字だ」

・本の価格1300円
・初版部数6千部
・発行部数に対して10パーセントの印税
つまり、78万円。

こういうケースは稀ですし(発行部数の10パーセントの印税を貰えることは稀です)、そもそも、このケースでさえ、本当に黒字かどうかも怪しいものです。
なぜならば、本を出版するまでにかけた「コスト」を考えていないためです。
※)ちなみに、実情をいうと、ほとんどの本が増刷できません。なので、「増刷はしなかった」というのは、大半の著者に当てはまります。

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本の出版の「時給」を算出すると、大抵、バイト並みになる

本を出版するまでのコストは、換算して100万円ほどでした。
※)商業出版と自費出版で、乗り越えなければならない「壁」

これに対して、上記だと78万円の印税。
つまり、22万円の赤字です。
ただ、先ほどのコスト100万円は労力をコストに換算したものですから、22万円の赤字といってもピンとこないかもしれません。
そこで、本の出版の「時給」を算出してみましょう。

(印税−かかった費用)÷かけた労力(時間)=時給

まずは、「印税−かかった費用」から計算します。

・印税:78万円
・かかった費用(出版プロデューサーを利用):23万4千円
印税−かかった費用=54万6千円

かけた労力ですが、まずは出版が決まるまでの時間です。
出版プロデューサーを利用しても、以下の時間は必要です。

・出版企画を考える労力:20時間(はじめての出版で、企画会議に通るだけの出版企画書をつくるのは難しいです。20時間というのはそれをネットなどの無料の情報で勉強した場合の話です。20時間でも足りないと思いますが)。
・編集者と打ち合わせる時間:2時間
・目次などを考える時間:10時間

つまり、ザットみて、約30時間。

次に本を書く時間です。
後ほど詳しく書きますが、商業出版では、ただ単に文章を書けばいいわけではありません。以下のような制限があります(制限といっても読者のことを考えてのことですが)。

「重複なし」
「ページは文字で埋まっている」
「1つのノウハウについて深く書くことは基本的には許されていない(例:「1つの技」よりも「108の技」の方がインパクトがあるので、編集者から後者を望まれます。もちろん、108個、技を考えなければなりません。また、108個の技のうち、1行で説明できるものもあれば、説明に10ページ必要なものがありますが、1つの技あたり2ページなどと指定されます)

これだと、文章を書くスピードは、かなり遅くなります。
だから、8時間で、4ページも仕上がればいい方なのではないでしょうか。
すなわち、200ページで400時間です。

かけた労力は、合計430時間になります。

というわけで、時給に換算すると、1269円です。
ユニクロの時給とそれほど変わりません。

実際は、78万円の印税をもらえる人は少ないと思いますし、文章を書き慣れていない人が文章を書くと、もっとスピードが遅くなるでしょうから、さらに時給は低くなります。だから、本業で残業した方が、お金としては儲かるのです(その差分をとれば、赤字になるわけです)。

ただ、これはまだマシな方です。
商業出版は、本を出版できないことが一番のリスクですから。
詳しくは次回に。

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