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商業出版には、原稿の買取もある

商業出版を実現させるには、乗り越えるべき「壁」があると書きました。
※)商業出版と自費出版で、乗り越えなければならない「壁」

多大な労力をかけて、その壁を乗り越えることができて、無事、商業出版できたとしましょう。
いくら印税が入るのでしょうか。
本を書いた報酬は、「印税」で支払われる場合、「原稿買取」で支払われる場合の二通りありますが、ここでは「原稿買取」について書きます。

原稿の買取とは?

本は「印税」のイメージが強いので、本が売れれば売れるほど、収入も増えるイメージがありますが、実は、原稿の買取りもあります。
原稿の買取りとは、その名の通り、原稿を出版社に売ることです。当然、原稿料を受け取ることができるのは一回限りですので、本が増刷しても原稿料は貰えません。
原稿の買取は、印税よりも損なイメージがありますが、印税よりもページ単価(1ページあたりに換算したときの報酬)が高く設定されていることが多いため、本が売れない出版不況の中、かえって原稿買取の方が報酬が高くなることもあります。
ただ、原稿の買い取りには以下の2つがあるので注意が必要です。

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著作権は著者のままの原稿買取

「著作権は著者。出版権(本や電子書籍として出版する権利)は出版社。契約は5年間で、そのあとは、3年ごとに自動更新」
「著者の承諾なしに、他の媒体での掲載はしない」

著作権は著者のままの原稿買取とは、このような契約形態の原稿買取です。要は、出版社が著者に「著者が書いた文章を、本や電子書籍として一定期間、使用させてほしい。その代わりに、原稿料を支払う」という契約のことです。
ちなみに、印税と同じような形態の契約ですが、印税は本が増刷されるたびに、著作権の使用料が支払われる一方、原稿買取は、契約時に原稿料が支払われるだけです。

著作権も買取りの対象になる原稿買取

原稿買取の場合、著作権も買取りの対象になるケースもあります。
著作権ごと買い取られるのは、たとえば以下のことがありますので、かなり不利な契約です。

・著者の承諾なしに、ウェブなどの電子媒体に掲載されたり、雑誌に掲載されたりされる可能性があります。別の本として出版されることもありえます。当然、みなさんには一銭も入ってきません。
・著者とはいえ、本の内容を勝手にウェブなどに掲載すると著作権法違反として訴えられる可能性もあります(著作権は出版社にありますので)。
・著作権は転売できますので、他の会社に転売されて、想定できない用途で利用されるリスクもあります。

このように書くと、「著作権譲渡の原稿買取はやめておこう」「著作権まで買取られるのには抵抗がある」と思うかもしれませんが、以下のようなメリットもあります。

・出版不況の中では、ほとんどの本は売れないですし、出版から1年後以降は、商業出版といえども、自費出版と変わらなくなります。だから、印税だと初版印税を貰っておしまい、著作権は著者のままの原稿買取だと原稿料を貰っておしまいのケースがほとんどで、著作権は無用の長物になる可能性が高いです(要は譲渡しても譲渡しなくても、結果は同じという意味です)。
・原稿の買取(著作権譲渡)で本を出版しても、「本を出版した」という実績作りにはなります。
・たいていの出版社は、著作権譲渡の原稿買取だと、本を、長期間、一生懸命に売ってくれます(出版社に有利な契約ですので)。だから、「名前」を売りたいならば、著作権譲渡の原稿買取の方がかえって有利になることもあります。

というわけで、著作権譲渡の原稿買取のメリットとデメリットを天秤にかけて、著作権まで譲渡する価値があるかどうかを判断すればいいでしょう(ただ、やはり、できるだけ著作権の譲渡は避けたいところですが)。

ただし、著作権譲渡の原稿買取の際には、必ず、注意すべきことがあります。
それは、事前に「著作者人格権」に関する条項を確認しておくことです。
「著作者人格権を行使しない」という条項が入っていれば(この条項が有効か有効ではないかは別にして)、みなさんが書いた文章を勝手に変えられる可能性があるためです。
それも、著作権を譲渡すれば、二度と戻ってきませんので、半永久的に、勝手に改ざんされた文章が掲載されている本を、あなたの名前で出され続ける可能性もなきにしもあらずなのです。

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